5. 要介護者の搬送歯科治療の実態について第一報福岡県内の歯科アンケート調査について

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在宅・訪問歯科治療において,要介護者等の歯科治療が困難な症例では,後方支援病院への搬送歯科治療が行われているが,搬送先の受け入れ体制やその搬送手段,連絡方法は様々であり,確立された基準や方法はないのが現状である。厚生労働省では,平成12年から『要介護者等歯科治療連携モデル事業』を立ち上げ,福岡県より本学に,この事業の調査,資料の作成を委託された。そこで今回我々は要介護者等の搬送歯科治療の実態を調査するために,福岡県内の歯科医院へのアンケート調査を行った。県内2,967の歯科医院から1,302の回答が得られた。この中で訪問歯科診療を行っている歯科医院数は494で,そのうち後方支援病院へ紹介・搬送を行っている歯科医院数は243だった。診療情報の交換は紹介状による方法以外に電話により行われている場合が多かった。また他の歯科医療機関への紹介は紹介状により行われている。診療情報のやり取りは書面にて行う方法が定着した結果と思われた。歯科治療困難な要介護者の紹介先は多くが大学附属病院であった。今後,受け入れ体制が整った,地域に密着した病院歯科の存在が一般歯科医院にとって必要であると考えられる。紹介患者の状態および基礎疾患は,循環器系疾患が最も多かったが,今後複数の基礎疾患を持つ患者の増加に伴い,搬送歯科治療も増えて行くものと考えられる。後方支援病院への搬送手段は,自家用車,タクシーが多く,家族などに搬送を頼っていることがほとんどである。今後は介護者も高齢化が進み,搬送は益々困難になって行くと思われ,大型タクシーや特殊タクシーの利用を推進させる必要があると考えられる。要介護者が安心して,安全に搬送できるように,医科主治医や後方支援病院との密接な連携と搬送手段のシステム化は急務であると考えられた。
2001-12-30

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