腱組織における炎症性サイトカインとアポトーシス発現の関連 : ウマ浅指屈健における解析
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概要
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【目的】アポトーシスは多くの組織で発現報告がなされているが、腱組織では明らかにされていない。本研究では腱組織での腱細胞のアポトーシス発現の有無を検索するとともに、正常時および炎症時での発現の差異を明らかにすることを目的とした。加えて、腱組織内での炎症性サイトカイン陽性細胞の分布を検索し、アポトーシス発現との関与を明らかにした。【材料と方法】ウマの浅指屈筋腱中央部を試料として用いた。試料は肉眼的に異常が全く認められなかったものを正常腱とし、出血・腫脹等の炎症像が見られたものを炎症腱とした。アポトーシス発現の検索はTUNEL法と抗Caspase3抗体による免疫組織化学的手法で、サイトカイン陽性細胞の分布は免疫組織化学的手法およびin situ hybridization法で検索した。形態変化については透過型電子顕微鏡で観察した。【結果と考察】正常腱、炎症腱ともにTUNEL陽性細胞およびCaspase3陽性細胞が確認された。正常腱では陽性細胞が散発的に分布していたのに対し、炎症腱では正常腱に比して多数の陽性細胞が分布していた。電顕でも核クロマチンの凝集像を持つ腱細胞が炎症腱で多く認められ、腱組織中でのアポトーシス発現が明らかになった。サイトカイン陽性細胞は正常腱では散発的に分布していたが、炎症腱では組織内に遊走したマクロファージ等の免疫細胞に加え、腱(芽)細胞、腱内膜細胞および血管内皮細胞が張陽性を呈した。腱炎時に腱組織の細胞外マトリックス構成成分が変化することはすでに明らかにされている。炎症による健内の環境変化が腱細胞のサイトカイン産生を促進し、産生されたサイトカインがさらに腱細胞のアポトーシスの誘発に関与していると推察した。
- 日本結合組織学会の論文
著者
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植田 弘美
酪農学園大学獣医学部獣医学科獣医解剖学教室
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竹花 一成
酪農学園大学獣医学部獣医学科獣医解剖学教室
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植田 弘美
酪農学園大学 獣医学部
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保坂 善真
鳥取大学農学部
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竹花 一成
酪農学園大学獣医学部
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竹花 一成
酪農学園大学 獣医学部 獣医解剖学 教室
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竹花 一成
酪農学園大学獣医学科家畜解剖教室
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竹花 一成
酪農学園大学獣医解剖学教室
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保坂 善真
酪農学園大学獣医学部獣医解剖学教室
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植田 弘美
酪農学園大 獣医
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山本 悦子
酪農学園大学獣医解剖学教室
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Takehana K
Rakuno Gakuen Univ. Hokkaido Jpn
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山本 悦子
酪農学園大学獣医学専攻博士課程
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