イヌの角膜成熟と細胞外マトリックス成分の相関性

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【目的】新生イヌの角膜は未発達な網膜や輝板を保護するために混濁しており、眼の成熟と共に透明になる.角膜の透明度は角膜固有層のコラーゲン細線維の規則正しい配列とそれらの間の細胞外マトリックスの一種であるグリコサミノグリカン(GAG)の充填が重要であるとされている.しかし,混濁とGAG構成の変化との相関性については明らかにされていない.そこでイヌの角膜の正常変化についてビーグル犬を用い形態学的および生化学的手法により解析した.【方法】形態学的には角膜のコラーゲン細線維の配列状態ならびに直径と単位面積あたりの基質占有割合を算出し,生化学的にはGAGの解析を行った.【結果】新生イヌの角膜は開眼時には混濁しており,その後徐々に混濁は和らぎ,生後3週目前後で完全に透明になった.角膜の主体である角膜固有層のコラーゲン細線維の直径は週齢毎でほぼ均一で0週齢では24.0nm程度,成イヌでは38.0nmであった.コラーゲン細線維の配列は成熟に伴い規則性を有していた.基質占有割合は80%から30%と減少していた.基質のGAG組成は週齢の増加と共にケラタン硫酸(KS)が増加しデルマタン硫酸(DS)が減少していた.【考察】角膜成熟に伴いコラーゲン細線維の太さと規則性の変化が認められ、生化学的には、KSの増加とDSの減少が顕著であった。このことは、コラーゲン細線維に対するKSとDSの作用、すなわちその直径と空間の維持と形成抑制作用に由来するもので、角膜の成熟にはこれらの成分の存在は必要不可欠であることが明らかになった。
日本結合組織学会の論文

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