心疾患患者に対する筋力トレーニング

概要

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高齢者や長期臥床をしいられた心疾患患者では下肢筋力の著しい低下によって, 歩行能力や運動耐容能が低いレベルに制限されることも少なくない。したがって, これらの症例に対する運動療法では, 下肢筋力の向上を図ることが重要と考えられる。本研究では心疾患患者の回復期運動療法に膝伸展筋の筋力トレーニングを併用し, その筋力増強効果について検討した。対象は筋力トレーニングを含む運動療法を施行したI群40例, 通常の有酸素トレーニングを主体とした運動療法を施行したII群38例, 運動療法を施行しなかったIII群27例である。運動療法は8週間行い, 退院時および退院後8週の時点で膝伸展筋の筋力測定を施行した。膝伸展ピークトルクの改善率はI群29%, II群8%, III群4%で, II, III群に比較し, I群で有意に高い値を示した。また, I群における筋力増強効果は年齢, 冠動脈病変の重症度, 運動耐容能の水準, 運動耐容能の改善の有無などにかかわらず良好に認められた。筋力トレーニングを併用した心疾患患者の運動療法は, 従来の運動療法に比較し, 筋力増強を図る上で有用と考えられた。
社団法人日本理学療法士協会の論文
1995-11-30