I型CD36欠損症を合併した虚血性心疾患患者に対する無輸血開心術
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概要
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I型CD36欠損症患者では,妊娠や輸血によりCD36(Nak^a)に感作されることで抗CD36抗体(anti-Nak^a)を産生し,その後の輸血にさいし血小板輸血不応答や輸血後紫斑病を惹起する.症例は72歳,女性.妊娠歴,輸血歴ともになし.65歳時より高血圧症と心不全に対し内科的加療を受けてきた.この間,^<123>I-β-methyl-iodophenyl pentadecanoic acid(BMIPP)心筋シンチグラムで無集積であったことを契機にI型CD36欠損症と診断された.72歳時,左下肢急性動脈閉塞を発症し左外腸骨動脈血栓摘除術と左外腸骨動脈-左浅大腿動脈バイパス術を無輸血で行った.そのさい心室瘤と冠状動脈狭窄を指摘され,待機的に心室瘤切除術と大動脈-冠状動脈バイパス術を行った.手術にさいし,CD36抗原への感作を回避する目的で貯血による自己血輸血と術中自己血回収を併用して他家血輸血を回避した.自己血輸血は輸血による合併症を回避する目的に行われるが,I型CD36欠損症もそのよい適応であると考える.
- 特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会の論文
- 2003-09-15
著者
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