パラジクロロベンゼンの2年間吸入暴露によるマウスとラットのがん原性と慢性毒性(毒性学)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
パラジクロロベンゼン(p-DCB)のがん原性および慢性毒性を検索する目的で, 20, 75, 300ppm濃度のp-DCB空気混合気流を雌雄BDF_1系マウスとFischer-344ラットに1日6時間, 週5日, 2年間(104週間)吸入暴露し, 病理的検査を中心として, 一般症状観察, 体重, 摂餌量の測定を行った.腫瘍性病変については, 300ppm雄マウス群に肝細胞癌, 肝芽腫, 肝臓の組織球性肉腫の発生が増加し, 肝細胞癌と組織球性肉腫の発生率は暴露濃度に対応して増加した.300ppm雌マウス群にも肝細胞腺腫と肝細胞癌, 肝芽腫の発生が増加し, 肝細胞癌と肝芽腫の発生率は暴露濃度に対応して増加した.暴露ラットには腫瘍の発生は認められなかった.非腫瘍性病変については, 300ppm暴露雄マウスと雄ラット群に肝細胞の中心性肥大, 300ppm暴露雄ラットに乳頭鉱質化および75ppmと300ppm暴露の雄ラット両群に尿路上皮過形成がみられたが, 鼻腔組織が最も鋭敏にp-DCB暴露に反応した.鼻腔病変は, 呼吸上皮と嗅上皮のエオシン好性変化及び鼻腺と嗅上皮の呼吸上皮化生を特徴とし, また, これらの変化は加齢にともなって増加するが, p-DCB長期暴露によって傷害の程度が増強されることを特徴とした.本試験の結果とNTPのp-DCB強制経口投与試験の発がん性結果の異同を比較し, p-DCB暴露によって誘発されたマウスの肝臓腫瘍と腎臓腫瘍の発生について, これらの腫瘍発生要因を吸入暴露と強制経口投与によるp-DCB体内取り込み量と投与経路の面から議論した.
- 2005-10-25
著者
-
松島 泰次郎
中災防 日本バイオアッセイ研究センター
-
山本 静護
中災防 日本バイオアッセイ研究センター
-
山本 静護
中央労働災害防止協会 日本バイオアッセイ研究センター
-
松島 泰次郎
中央労働災害防止協会 日本バイオアッセイ研究センター
-
相磯 成敏
中央労働災害防止協会日本バイオアッセイ研究センター
-
竹内 哲也
中央労働災害防止協会日本バイオアッセイ研究センター
-
有藤 平八郎
中央労働災害防止協会日本バイオアッセイ研究センター
-
長野 嘉介
中央労働災害防止協会日本バイオアッセイ研究センター
-
竹内 哲也
中災防 日本バイオアッセイ研究センター
-
松島 泰次郎
日本バイオアッセイ研究センター
-
松島 泰次郎
中央労働災害防止協会技術支援部
-
長野 嘉介
日本バイオアッセイ研究センター
-
長野 嘉介
中央労働災害防止協会 日本バイオアッセイ研究センター
-
相磯 成敏
中災防 日本バイオアッセイ研究センター
-
有藤 平八郎
中央労働災害防止協会・日本バイオアッセイ研究センター
-
Aiso Shigetoshi
Japan Bioassay Research Center Japan Industrial Safety And Health Association
-
相磯 成敏
Division Of Pathology Japan Bioassay Research Center
-
有藤 平八郎
中央労働災害防止協会:日本バイオアッセイ研究センター
-
相磯 成敏
中央労働災害防止協会・日本バイオアッセイ研究センター
関連論文
- p-ニトロアニソールの投与によるラット血液及び尿中の未変化体及び代謝物の経時的変化
- グリオキサルのF344ラット及びBDF_1マウスへの長期経口投与による毒性
- アントラセンのF344ラット及びBDF_1マウスへの長期経口投与による毒性
- ラット肝ミクロゾーム及びサイトゾールを用いたアリルクロリド(ガス)の代謝
- P165 ヘッドスペース-GC-MSを用いた揮発性有機化合物のラットの血液及び組織中濃度分析
- P160 鼻部暴露によるアリルクロリドの血液及び組織中濃度と血漿中代謝物の推移
- ビフェニル投与により雄ラットの膀胱内に認められた結石の成分分析
- パラジクロロベンゼンの2年間吸入暴露によるマウスとラットのがん原性と慢性毒性(毒性学)
- P-25 2-Bromopropaneのトランスジェニック(Big Blue^)マウス精巣に対する変異原性
- P-16 2-Bromopropaneの気相暴露試験法による突然変異誘発スペクトルの解析
- エチレングリコールモノアルキルエーテル類によるマウス精巣の萎縮
- P-17 活性酸素産生系物質の変異原性検出におけるWP2系oxyR変異導入株の有用性について
- 変異原性物質検出におけるTolC外膜輸送蛋白質変異を持つ大腸菌WP2菌株と持たない大腸菌WP2菌株の感受性の比較
- P164 有機溶剤の有害性データベースの構築 : 当センターで実施した試験結果を中心に
- 403. ガス捕集袋を用いたガス状物質の変異原性試験(変異原・発がん,一般講演,第61回日本産業衛生学会・第44回日本産業医協議会)
- P-077 アスベストによる細胞形質転換と倍数性誘発(ポスターセッション)
- P-065 ナノ材料のin vitro安全性評価手法の開発 : -1-二酸化チタン(ポスターセッション)
- P095 アスベストによる倍数体および形質転換の誘発
- Enhanced proliferative response of hepatocytes to combined inhalation and oral exposures to N,N-dimethylformamide in male rats
- 6. N,N-ジメチルアセトアミドのラットを用いた吸入曝露による生殖発生毒性の検討(第33回有機溶剤中毒研究会,地方会・研究会記録)
- P1009 臭素化ダイオキシンによるラットの単回経口投与毒性 : 全身症状と造血系への影響(一般演題:ポスター,地方の時代の産業保健,第79回日本産業衛生学会)
- P1008 臭素化ダイオキシンによるラットの単回経口投与毒性 : 肝臓への影響(一般演題:ポスター,地方の時代の産業保健,第79回日本産業衛生学会)
- P1007 臭素化ダイオキシンによるラットの発生毒性 : 胎児および乳児への影響(一般演題:ポスター,地方の時代の産業保健,第79回日本産業衛生学会)
- ビフェニルの 2 年間混餌投与によるマウスのがん原性(毒性学)
- P2071 グリシドールのラットとマウスへの吸入曝露による鼻腔腫瘍の発生
- P2070 アリルクロリドのラット及びマウスへの吸入曝露によるがん原性と慢性毒性
- P2069 アクリル酸=2-ヒドロキシエチルのラット及びマウスへの経口投与によるがん原性と慢性毒性
- P2068 ο-フェニレンジアミン二塩酸塩のラット及びマウスへの経口投与によるがん原性と慢性毒性
- P2067 1, 4-ジクロロ-2-ニトロベンゼンのラットとマウスへの経口投与によるがん原性と慢性毒性
- I308 酸化プロピレンのラットを用いた吸入曝露による生殖発生毒性
- 4.クロトンアルデヒドのラットを用いた吸入曝露による13週間試験及びがん原性試験(一般演題)(第32回有機溶剤中毒研究会)
- ベンチマークドーズを用いた産業化学物質の毒性評価
- ラット及びマウスの腫瘍性・非腫瘍性病変を用いたクロロホルムのリスクアセスメント
- 7.2週間及び13週間吸入曝露によるN,N-ジメチルホルムアミドのラットとマウスへの毒性影響
- P442 ジクロロメタンのF344ラット及びBDF_1マウスへの長期吸入暴露による毒性
- P441 雌雄ラット・マウスのクロロホルムの吸入暴露による急性・亜慢性毒性影響
- P430 N, N-ジメチルホルムアミドのF344ラット及びBDF_1マウスへの長期吸入曝露による毒性
- P429 ヒドラジン : 水加物のF344ラット及びBDF_1マウスへの長期経口投与による毒性
- Incidence of Respiratory Metaplasia of the Nasal Gland Epithelium in Untreated F344 Rats and BDF1 Mice Subjected to Two-Year Carcinogenicity Studies
- Increased Incidence of Foreign Body Rhinitis in F344 Rats during Two-year Inhalation Exposure to Methyl Bromide
- Occurrence of Foreign Body Rhinitis in F344 Rats During Toxicologic Studies
- P1015 1-ブロモ-3-クロロプロパンのラット及びマウスへの吸入曝露によるがん原性と慢性毒性(一般演題:ポスター,地方の時代の産業保健,第79回日本産業衛生学会)
- P1014 2,4-ジクロロ-1-ニトロベンゼンのラット及びマウスへの経口投与によるがん原性と慢性毒性(一般演題:ポスター,地方の時代の産業保健,第79回日本産業衛生学会)
- P1012 アセト酢酸メチルのラット及びマウスへの経口投与によるがん原性と慢性毒性(一般演題:ポスター,地方の時代の産業保健,第79回日本産業衛生学会)
- シクロヘキセンの2週間反復投与試験(吸入暴露)によるラットとマウスへの影響
- Thirteen-week oral toxicity of 1,4-dioxane in rats and mice
- 臭素化ダイオキシンの毒性
- Adenoma of the Nasal Submucosal Glands in the BDF_1 Mouse : One Case among 2000 Controls in 2-year Carcinogenicity Studies
- DEVELOPMENT OF RESISTANCE TO CHLOROFORM TOXICITY IN MALE BDF_1 MICE EXPOSED TO A STEPWISE INCREASE IN CHLOROFORM CONCENTRATION
- Inhalation Toxicology Studies of Chloroform in BDF_1 mice
- P-48 マウスリンフォーマ試験における代謝活性化の条件(ポスター(1))
- O-4 分類決定木によるコンピュータを用いた有機化合物の変異原性の予測システム(一般演題:口演(1)-トキシコゲノミクス・環境モニタリング・変異原予測-)
- P1-036 直鎖アルデヒド化合物(C_1〜C_5)の染色体異常誘発性の比較(染色体異常)
- 労働安全衛生法に基づいて届出られたデータを教師データとしたニューラルネットワークによるエポキシ化合物の変異原性の予測システム
- 既存化学物質の In Vitro 染色体異常試験データ
- ハザード情報の生産・供給とMSDS
- P-084 染色体異常試験におけるアセトン溶媒の使用について
- 新規科学物質の変異原性試験結果から得られた化合物の部分構造と変異原性の相関
- P-112 新規化学物質の変異原性試験結果データベースと化学物質の部分構造の変異原性
- P-17 微生物を用いる変異原性試験で陰性を示した物質のin vitro小核試験
- P-15 がん原性物質の2段階セルトランスフォーメイション試験
- 11.アセトアルデヒド吸入曝露によるアルデヒド脱水素酵素2ノックアウトマウス・野生型マウスの病理学的変化(平成16年度九州地方会学会)
- A Pathological Study on Spontaneous Hepatic Neoplasms in BDF1 Mice
- TWO-YEAR FEED STUDY OF CARCINOGENICITY AND CHRONIC TOXICITY OF ORTHO-CHLORONITROBENZENE IN RATS AND MICE
- THIRTEEN-WEEK ORAL TOXICITY OF PARA- AND ORTHO- CHLORONITROBENZENE IN RATS AND MICE
- 第9回 有機溶剤の発がん性 (有機溶剤による健康影響)
- 1-プロモプロパンのラットを用いた反復投与吸入毒性・生殖発生毒性併合試験
- 2-プロモプロパンのラットを用いた反復投与吸入毒性・生殖発生毒性併合実験
- DOSE- AND TIME-DEPENDENT EFFECTS OF 2,3,7,8-TETRABROMODIBENZO-P-DIOXIN ON RAT LIVER
- P-9 加齢によるラット肝実質細胞に対する小核出現率について
- 1, 4-ジオキサンのラット肝実質細胞に対する小核誘発性について
- Carcinogenicity and Chronic Toxicity of 1,4-Dichloro-2-nitrobenzene in Rats and Mice by Two Years Feeding
- Thirteen-Week Oral Toxicity Study of 1,4-Dichloro-2-Nitrobenzene in Rats and Mice (Special Issue: The Next Revolution in the Global Standardization of Occupational Vibration Prevention)
- Thirteen-week Inhalation Toxicity of ρ-Dichlorobenzene in Mice and Rats
- Induction of Peroxisome Proliferation in the Liver of Biphenyl-Fed Female Mice
- Carcinogenicity and Chronic Toxicity after Inhalation Exposure of Rats and Mice to N,N-Dimethylformamide
- P-087 多層カーボンナノチューブの遺伝毒性試験および細胞形質転換試験(ポスターセッション)
- Pulmonary toxicity of intratracheally instilled multiwall carbon nanotubes in male fischer 344 rats
- Carcinogenesis study of monochlorobenzene in the F344 rat (Inhalation study)
- Two- and 13-week Inhalation Toxicities of Indium-tin Oxide and Indium Oxide in Rats
- ナノマテリアル最新情報(No.3)生体影響(その2)動物実験の現状と将来--吸入代替法(気管内投与)とその影響--多層カーボンナノチューブを例にして
- 1-クロロ-2, 4-ジニトロベンゼン(CDNB)のラット及びマウスを用いた経口投与によるがん原性試験
- p-クロロニトロベンゼン(p-CNB)のラット及びマウスを用いた経口投与によるがん原性試験
- ビフェニルのF344ラット及びBDF_1マウスへの長期投与による毒性
- 酢酸ビニルのF344ラット及びBDF_1マウスへの長期投与による毒性
- 呼吸器系の毒性
- 3.セロソルブ類の生殖毒性(有機溶剤による生殖障害をめぐって,第14回有機溶剤中毒研究会)
- P-032 多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の肺胞マクロファージにおける小核誘発性 : ラットを用いた2週間及び13週間全身曝露吸入試験(I.変異原性・遺伝毒性,ポスターセッション)