仮性結核菌に関する研究 : I. 日本における仮性結核菌の分布と血清学的分類

概要

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欧州では,各種動物における仮性結核菌の感染が多い.人においても,いわゆるチフス型の症例は減少したが,それに代って,腸間膜リンパ節炎(虫垂炎型)が増加している.日本をはじめ欧州諸国以外の国では,本菌の感染については,あまり注目されていない.著者らは,日本における本菌の分布を,文献に従って調査するとともに,血清学的分類を行なった.成績を要約すれば,以下の通りである.1. これまでに公表されたものと,未公表の分離成績によれば,人1,サル5,ブタ3,ヤギ2,ウサギ23,およびモルモット14株,計48株が分離されている.これは欧州各国の分離成績より著しく少数である.一方,由来においても,欧州に多く見られる鳥類からの検出については,報告がない.2.40株について血清学的型別を行なった結果,I型9株(22.5%),11型1株(2.5%),I1型3株(7.5%),Iv型9株(22.5%),V型15株(37.5%)および型別不能3株(7.5%)に分類された.I,IIおよびIv型の亜型は,すべてB型であった.3. ウサギおよびモルモット由来菌は,それぞれ5および4菌型が検出された.IおよびIV型菌は,宿主間に広く分布している.4.越智らにより分類されている菌型と,既知の菌型との関係を明らかにしたくTable4).
社団法人日本獣医学会の論文
1970-10-25