日本における罹患成犬からのヘルペス・ウイルスの分離
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概要
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犬ヘルペス・ウイルスは,最近アメリカにおいて,初生大から,また幼若犬由来の腎細胞培養から:分離された,分離ウイルスは,初生犬に出血性の全身感染を起こすが,成犬には有症感染を起こさないといわれている.本報告には,日本において,大ジステンパー様の症状を呈した成犬から,犬ヘルペス・ウイルスを分離し,その性状を検討した結果が,記載されている.本ウイルスは,1959年1月,元気消失,高熱,呼吸困難,鼻漏,眼漏等を呈する3才の雄大の肺材料から,犬腎細胞培養に分離された.牌材料からのウイルス分離は,陰性に終わった.このウイルスは,犬腎細胞培養で増殖し,継代30代ウイルスは,12時間でほぼ最高の感染価である104゜5~106゜0TCID50/mlに達し,細胞の円形化および脱落を呈し,感染細胞核内に封入体を形成した.しかし,猫,兎,豚,ハムスター,牛などの腎細胞,鶏胎児細胞,ならびにFlおよびHcLa細胞などでは,ウイルス増殖も,細胞変性もみられなかった.生後5週および3カ月の犬に大量のウイルスを接種したが,なんの症状もみられず,一定期間後追加接種を施したもののほかは,抗体感応もみられなかった.調べた範囲では,野外の犬の血清中に本ウイルスに対する抗体を証明することができなかった.マウス,ハムスター,モルモットおよび鶏胎児を使っての接種実験でも,症状または病変を呈するものはなかった.本ウイルスは,エーテルで不活化され,その増殖はDNA合成阻止剤によって抑制された.鶏,モルモット,マウスなどの赤血球の凝集反応は陰性であ.った.熱および低pHによっても,ウイルスは容易に不活化された.感染細胞の超薄切片においては,核内のウイルス粒子は直径約90mμで,内部に約60mμの核様小体を含んでいた.細胞質内粒子は直径約155mμで,内部に約60mμの核様小体と,それを包む約80mPの内膜が識別された.細胞外にみられる粒子は,細胞質内のそれと区別できなかった.核周隙にみられる粒子は,大きさと構造から,上述の2つの形の移行形と解された.ネガティブ染色された試料では,カプシッドの直径は約110mμ,包膜の直径は約170mμと測定された.PTAの浸入の程度は,粒子によって色々であ.った.カプソメアの数は162と算定された.・\ルペス・ウイルスの特徴として,DNA合成阻止剤による増ダ直抑制,エーテルおよび低pH感受性,核封入体形成,血球凝集反応陰性,ウイルス粒子の微細構造とその特異的な発生および放出様式などの諸性質があげられている.分離ウイルスの示す諸性状は,これらとよく合致するのみならず,大ヘルペス・ウイルスに・
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1966-12-25
著者
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