廃用豚の脳における結節性多発性動脈炎の高発生(短報)(病理学)

概要

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食肉処理場から手に入れた純血種の雌豚307例の脳を回顧的に検索した.雌豚は生殖不全,泌尿生殖器伝染病,運動性に問題があるなどの理由で淘汰されたものである.もっとも共通してみられた肉眼的病変は,基底核(大脳核)での空洞化または空隙形成と血管増生を伴う肥厚した軟膜であった.もっとも瀕繁にみられた組織学的病変は,結節性多発性動脈炎であり,そのうち40例の脳では上記の病変を伴っており,25例では脳梗塞または空洞化が伴っていた.結節性多発性動脈炎の影響を受けた動脈は,主に大脳軟膜,基底核と内側または外側被膜に分布していた.病理組織学的には,病変のみられた動脈にみられた特徴的な変化は,各種炎症性細胞の著しい浸潤を伴う全層にわたる類線維索壊死巣,管腔の閉塞または狭窄であった.炎症性細胞は主にリンパ球,マクロファージ,形質細胞で形成されており,少数の好酸球と多核巨細胞もしばしば見られた.結節性多発性動脈炎は,商用雌豚からの脳で高い発生頻度で認められた.この病変は脳貧血,梗塞,出血を引き起こし,運動性障害による淘汰の決定に重要な役割を担っているものと思われる.
2005-01-25