破壊確率を用いた自然斜面の崩壊予知に関する研究

概要

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この報告は, 豪雨に伴う斜面の破壊確率の遷移特性に着目し, 降雨量のみで斜面崩壊を予知する方法を新たに提案したものである。また, 豪雨に伴う斜面土中水分状態の応答解析法も提案している。得られた結論は以下のようである。(1)ここに提案した2層流理論に基づく飽和・不飽和浸透解析法は, ランダムに生起する降雨と土中の飽和度分布の応答解析が可能である。また, 浸透実験結果との比較から, この解析法が高い精度を有しており, 工学的に応用が可能であることがわかった。(2)実際の降雨による崩壊例に対して, 破壊確率P_Fの遷移を調べたところ, P_Fの遷移過程が崩壊と強く関係していること, 特に, P_Fの時間的変化率P^^・_Fが最大となる時点で崩壊が多発していることがわかった。(3)また, 未崩壊例のP^^・_Fの最大値と崩壊例の崩壊時のP^^・_Fの比較から, P^^・_Fの値が崩壊・未崩壊を判別しうるパラメーターとなることがわかった。(4)破壊確率が決定(設計)問題だけでなく, 破壊予知の問題にも応用できることがわかった。
社団法人地盤工学会の論文
1984-09-15