ホルモン型除草剤のヤエナリ下胚軸エチレン発生系に及ぼす影響
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概要
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ホルモン型除草剤と分類される一群の除草剤がある。これらの除草剤は,種々の生物検定法に於いてIAAと同様にオーキシン活性を示すが,その詳細な作用機構は不明である。そこで,種々のホルモン型除草剤の作用メカニズムを明らかにする為,同一の生物材料を用い,二つの生物検定法でホルモン型除草剤の活性を調べた。生物検定法には,薬剤によって誘導されるエチレンを指標にしたエチレン発生試験と,生長促進を指標にしたスリット試験を用い,ヤエナリ下胚軸を生物材料とした。まず,本研究に用いた薬剤のヤエナリの生長に及ぼす影響について調べたところ,10^<-6>〜10^<-4>Mで、すべての供試化合物が下胚軸の伸長を抑制し,2,4-D, dicambaがもっとも強い活性を示した (Fig. 2)。次にエチレン発生試験およびスリット試験における活性を調べた。IAA, NAA, 2,4-Dおよびdicambaは,ヤエナリ下胚軸のエチレン発生を誘導したが,quinclorac およびfenacはエチレン発生を誘導しなかった (Fig. 5)。しかしスリット試験においては,quincloracはIAAとほぼ同等の活性を示した。またfenacはスリット試験においても活性は認められなかった (Fig. 6)。以上の結果より,同じホルモン型除草剤に分類される薬剤でも,その作用機構は異なることが示唆された。
- 日本雑草学会の論文
- 1990-12-25
著者
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吉田 亮
住友化学工業株式会社宝塚総合研究所農業科学研究所
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大塩 裕陸
住友化学宝塚総合研究所
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吉田 亮
住友化学宝塚総合研究所
-
水戸 信彰
Agricultural Science Research Laboratory Takarazuka Research Center Sumitomo Chemical Co. Ltd.
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水戸 信彰
住友化学宝塚総合研究所
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大塩 裕陸
住友化学工業株式会社宝塚総合研究所農業科学研究所
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