ヒヨコ網膜における網膜神経節細胞層の領域的特殊化
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概要
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ヒヨコ及びヒヨコ胚網膜の全貼標本をニッスル染色および軸索トレサーで標識し,網膜神経節細胞層の領域的特殊化を網膜の面積,神経節細胞層の細胞数,密度,大きさの変化により調べた.面積と細胞数共にE14まで増加するが,それ以降,面積はやや増加し,数は減少した.密度は発生過程で常に減少した.領域的特殊化は細胞増殖期((E10)-14以前)にすでに観察され,細胞減少期に完成する.中心網膜と背側網膜に高密度域が存在し,前者(中心野)はE8で既に見られ,その密度は周辺網膜に向かって減少する.一方,後者(背側野)はE11で確認された.両者の密度はE11からP1までに25-30%減少し,P30までにさらに40-60%減少した.中心野はP30でも観察されたが,背側野は同定できなかった.密度とは対照的に細胞体の大きさは発生が進むにつれ,かつ周辺網膜に向かうにつれて大きくなり,E8からP30までに中心野と背側野は5-7倍,耳側周辺網膜では12倍に大きくなった.今回の実験から中心-周辺間の密度勾配は周辺網膜での細胞死よりもむしろ中心野における大規模な細胞発生と中心-周辺間の網膜成長率の違いによるもので,細胞死は主として細胞の成熟に関係する.背側野の消失は背側野における孵化後の細胞死が周辺部より大きいために均一化されたためと予想された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
著者
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内藤 順平
名古屋大学農学部
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内藤 順平
帝京科学大学理工学部アニマルサイエンス学科脳機能形態分野
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陳 耀星
名古屋大学大学院生命農学研究科生物機能分化学講座動物形態情報
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陳 耀星
中国農業大学動物医学院獣医解剖学講座:帝京科学大学理工学部アニマルサイエンス学科脳機能形態分野
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Chen Yaoxing
Labroratory Of Animal Morphology And Function Division Of Biofunctions Development Graduate School O
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