犬糸状虫症の肺静脈血統に関する臨床的研究

概要

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犬の肺静脈血流速の観察方法について検討し, ついで, 経胸壁ドプラ心エコー法を用いて犬糸状虫症における肺静脈血流速の変化と心機能との関連について検討した.その結果, 左側横臥位における経食道ドプラ心エコー法と経胸壁ドプラ心エコー法の肺静脈血流速に良好な相関関係が認められ, 経胸壁ドプラ心エコー法による肺静脈の血流を示すS波流速およびD波流速を測定することによって, 臨床的に肺静脈血流速を計測できることが確認された.また, 経胸壁ドプラ心エコー法による犬糸状虫症の右前葉肺静脈血流速では, S波流速, D波流速, S波時間速度積分値, D波時間速度積分値において正常群と犬糸状虫症群との間で有意(P<0.05)な上昇が認められた.右後葉肺静脈血流速では, D波流速, D波時間速度積分値において正常群と犬糸状虫症群との間で有意(P<0.05)な低下が認められた.また, S波時間速度積分値 / (S波時間速度積分値+D波時間速度積分値)は, 正常群と犬糸状虫症群との間で有意(P<0.05)な上昇が認められた.このことから, 右前葉肺静脈血流速および右後葉肺静脈血流速を計測することによって, 犬糸状虫症における肺動脈の閉塞性病変の進行を評価する一手段となる可能性が示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
2000-02-25

犬糸状虫症の肺静脈血統に関する臨床的研究

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