8系統の近交系ラットにおける広東住血線虫に対する獲得免疫産生と免疫応答の比較
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概要
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8系統(ACI/N, Buffalo, Lewis, NIG III, Tokyo, Wistar-King-A, Wistar-King-S, Wistar/Mishima)の近交系ラットに広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)を感染させ, 10週後に攻撃感染を行ない, 攻撃感染防御能, ならびにレアギン抗体と間接血球凝集(IHA)抗体の産生能を比較した. その結果, BuffaloとACI/Nでは他の系統より攻撃感染防御能が低く, これに対してTokyoとNIG IIIでは防御能の高いことがわかった. 残りの4系統も多かれ少かれ獲得免疫を産生したが, その程度は前述の4系統の中間的なものであった. 本虫の感染に対するレアギン抗体の産生パターンには系統間で著しい差異が認められた. すなわち, Tokyoはレアギン抗体のhigh responderであり, ACI/Nはlow responderであった. 一方, IHA抗体の産生パターンは系統間で酷似していた. しかし, TokyoやNIG IIIでは一般に他の系統よりIHA抗体価が高かった. ACI/NとNIG IIIについて肺の病変を比較したところ, ACI/Nでは肺の虫卵結節周囲に線維化がほとんど認められず, このことはNIC IIIとの著しい相違点であった. 以上の成績は, 広東住血線虫感染に対するラットの攻撃感染防御能やレアギン抗体産生能は遺伝的支配を受けていることを示唆するものと思われる.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1979-06-25
著者
-
吉田 俊秀
国立遺伝研
-
吉村 堅太郎
秋田大・医・寄生虫
-
吉村 堅太郎
順天堂大学 寄生虫
-
吉田 俊秀
国立遺伝学研究所
-
吉田 俊秀
National Institute of Genetics
-
合場 広子
順天堂大学医学部寄生虫学教室
-
平山 中巳
麻布獣医科大学寄生虫学教室
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