犬体温リズムに関する基礎的研究 : II. 生後における日内リズムの発達
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概要
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一定環境下(室温22±2℃)で飼育された11頭の妊娠母犬より得た雑種新生仔25頭(雄14, 雌11)を生後5日から300日まで, 5日ごとに, 1時間々隔で24時間にわたって直腸温を計測した. 体温変化の解析にはHalbergのcosinor法を適用し, 得られた数値より成長にともなうサーカディアン・リズム(circadian rhythm)形成の推移を調べ, 次の結果を得た. 雌雄ともに生後5日目で平均振幅0.1以上の日内リズムが出現した. このリズムの振幅は日齢にともなって変化し, その変化には減少(5〜30日齢), 増大(雄は30〜60日齢, 雌は30〜55日齢), 安定(雄は60日齢以降, 雌は55日齢以降)の3期が区分できた. 位相も日齢にともなって変化し, 前進(雄は5〜15日齢, 雌は5〜20日齢), 後退(雄は20〜30日齢, 雌は25〜35日齢), 安定(55日齢以降)の3相におよそ区分できた. したがって雑種犬の体温リズムが位相の安定した明瞭な成大型のリズムヘ移行しはじめる時期はおよそ60日齢であることが明らかとなった. 日齢集団ごとに示された円形グラフ内の棄却楕円は日齢が進むにつれて, 雌雄ともに小さくなる傾向を示した. しかもその楕円の位置は日齢の増加につれて円形グラフの中央から上方に移行するようになり, いわゆる, 昼間高く, 夜間低いという体温のリズム現象がしだいに顕著となる. そして, 60日齢以降では, 各日齢集団を構成する大部分の個体がいわゆる成犬型の体温リズムを確立するようになった. ことに雌犬では, 生後9力月で棄却楕円が完全に円形グラフの上半部に移行した. すなわち, 集団を構成するすべての雌犬が成犬型の体温リズムを示すようになった. 一方, 雄犬では10力月齢になっても棄却楕円ほ完全には円形グラフの上半部に移行せず, 一部の犬は依然として成犬型のリズムを示さなかった. 以上の事実から,犬体温リズムの完成には性差のあることが明らかとなった. また犬の体温水準は雌雄ともに, 生後40日までは上昇し, その後は安定することを認めた.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1978-10-25
著者
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