低温細菌群の発育温度に関する研究 : 生乳および生肉由来 Pseudomonas の種々の培養温度における発育態度について
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概要
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著者らは, 生乳由来20株, 新鮮豚肉由来10株, 冷凍犢肉由来20株, 計50株の低温性 Pseudomonas および3株の異種の中温細菌について, -8℃から40℃にわたる12段階の温度での静置培養法と, 0℃から45℃までの間をほぼ1.5℃の間隔で30段階に分けた温度での振盪温度勾配培養法とを用いて, 発育温度域および至適発育温度を, 主としてoptical density (OD) 値によって検討し, 次のような成績を得た. 1. Pseudomonas 50株中42株が-8℃, 7〜15週で, また47株が-5℃, 3〜4週で発育した. なお冷凍犢肉由来の全供試株は, -8℃で発育した. -5℃, 10週で発育しなかった3株のうち, 1株は-2℃で, 他の2株は1.5℃で発育した. 中温細菌3株の最低発育温度は4.5〜7.5℃の範囲にあった. 2. 供試した Pseudomonas の最高発育温度は, 30〜40.5℃の範囲にあった. 生乳および新鮮豚肉由来株の大多数は34.5℃以上に, 冷凍犢肉由来の過半数の株は34.5℃以下にあった. 一方, 中温細菌3株は45℃でよく発育した. 3. 温度勾配培養の9時間で最高 OD 値の得られた温度を至適発育温度としたとき, Preudomonas 50株のそれらは, 25.5〜34.5℃の範囲にあった. このうち37株は, 30℃以下に至適発育温度をもっていた. これに対して中温細菌の至適発育温度は, 36〜40.5℃の範囲にあった. 4. 本実験で使用した Pseudomonas のうち, 0℃で発育できない菌株が2株認められた. これらを含む50株すべては, 5℃以下, 10日以内に発育し, 至適発育温度はすべて25℃以上にあった. 従って, これらの菌株の名称には, Eddy [6] の提案した Psychrotrophs を採用し, 和名は"低温細菌"としたい. なお対照の中温細菌3株は5℃,15日の静置培養で発育しなかった. 本論文の要旨は第76回日本獣医学会(1973年10月)で報告した.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1975-04-25
著者
-
浜田 輔一
北海道大学獣医学部獣医公衆衛生学講座
-
日越 博信
琉球大学農学部畜産学科
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浜田 輔一
北里大学畜産学部
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日越 博信
北海道大学獣医学部獣医公衆衛生学教室
-
土井 誠
北海道大学獣医学部獣医公衆衛生学教室
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