家兎の実験的血栓症に対するヒト組織プラスミノゲンアクチベータの血栓溶解効果
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概要
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家兎の頸静脈に自家血による血栓を作製した. ヒト胎児正常線維芽細胞(IMR-90)の培養上清から精製した組織プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)とウロキーゼ(UK)を, この家兎の同側または対側の耳介静脈からどちらも体重1kgあたり7万単位の割合で持続注入した. 同側耳静脈から注入したときの血栓溶解率は, t-PA, UKともに対側から注入したときよりも高く, t-PAで70%とUK(40%)を上廻った. またこの際, 血漿中のフィブリノゲン, プラスミノゲン,α_2-アンチプラスミンの減少は, UKにくらべ明らかに少なかった. 血栓溶解特性の目安として血栓溶解率と血漿中のフィブリノゲン分解率の比をとると, 同側または対側, いずれの耳静脈内注入時にもt-PAがUKを上廻った. ヒト正常細胞(IMR-90)由来のt-PAは, 家兎自家血栓に対して高い特異性を示した. フィブリン平板を用いて測定したユーグロブリン分画中のプラスミノゲンアクチベータ活性は, t-PA投与終了後, 血中からすみやかに消失した. 以上のごとく, t-PAは, 血漿中での血液凝固線溶バランスに対する影響が軽微であり, 活性消失も速いので, UK大量投与時にみられる出血, 止血不全などの副作用が軽減される可能性が示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1988-12-15
著者
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有沢 広彦
雪印乳業株式会社 生物科学研究所
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升永 博明
雪印乳業(株)生物科学研究所
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有沢 広彦
雪印乳業(株)生物科学研究所
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片山 純男
雪印乳業(株)生物科学研究所
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升永 博明
イーエヌ大塚製薬株式会社
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升永 博明
雪印乳業(株)生物科学研究
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