Recombinant human erythropoietin(SNB-5001)の赤血球産生尤進作用と各種貧血モデルに対する改善効果
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概要
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SNB-5001の健常動物,貧血動物に対する造血作用について種々の検討を行った.マウスに1〜8U/匹の用量範囲で3日間皮下投与すると,直線的な網状赤血球数の増加が認められた,ラット,ウサギ,イヌに週2回3週間皮下投与すると,いずれにおいても50U/kg以上で用量依存性の造血尤進作用が認められた.SN:B・5001を投与されたラット,イヌにおいて,増加した網状赤血球数はいずれも投与終了後1週間以内に低下したが,赤血球数,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリット値はラットで約2週間,イヌで約3週間高い値を持続した.SNB-5001の過剰投与による急激な多血状態が循環動態に与える影響について自然発症高血圧ラットおよび健常ラットを用い検討したところ,いずれのラットにおいても循環血液量および循環赤血球量の増加が認められたが,血圧および心拍数に対する明らかな影響は認められなかった.貧血改善効果の検討は腎性貧血,出血性貧血,炎症性貧血の各実験モデルについて行った.腎性貧血ラットでは7日間繰り返し投与,週1回3週間間歌投与のいずれにおいても用量に依存した貧血改善作用が認められた.また大量濡血後の貧血ラットでは,SNB-5001の投与により貧血からの回復時間が用量依存的に短縮し,少量ずつの濡血を繰り返したラットでは50U/kgの投与量で明らかに貧血の進行を抑制した.また慢性炎症ラットに併発した貧血に対しても明らかな改善作用を示した.これらのことから,SNB-5001は赤芽球系前駆細胞の分化促進を誘導し,腎性貧血のみならず,出血や慢性炎症にともなう貧血に対しても有用であることが示唆された.慢性炎症ラットに併発した貧血において,赤血球数の増加に比べ,ヘモグロビン濃度およびヘマトクリット値の増加の程度が小さかったが,これは炎症時の鉄代謝障害により,赤血球のヘモグロビン合成に動員される鉄の供給が不足し,低色素小球性の赤血球が産生されたためと推察された.
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