Bacillus thuringiensis産生CrylAbタンパク質の哺乳動物細胞への影響
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概要
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Bacillus thuringiensisが産生するCryタンパク質は人畜に対する安全性が高い殺虫性タンパク質と考えられており,農薬や遺伝子組換え農作物として世界中で広く利用されている。しかし,Cryタンパク質の哺乳動物細胞への影響についての検討は十分ではない。そこで今回我々は,cryタンパク質が及ぼす哺乳動物細胞への影響についてより詳細に把握する目的で,牛初代培養肝細胞を用いて,いくつかの指標に対するCrylAbの影響を検討した。その結果,CrylAb添加により培養肝細胞からのLDH遊離率が濃度依存的に増加する傾向が認められた。しかし,それらは統計的に有意ではなく,また,CrylAb添加による培養肝細胞の形態およびアルブミン分泌量に変化は認められなかった。これらのことから,CrylAbが哺乳動物細胞に対してわずかな影響を与える可能性を完全には否定できないものの,急性的な毒性は示さないことが示唆された。
- 2003-02-25
著者
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吉岡 都
(独)農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所安全性研究チーム
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嶋田 伸明
(独)農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所安全性研究チーム
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村田 英雄
(独)農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所安全性研究チーム
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吉岡 都
動物衛生研究所
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宮本 和久
農業生物資源研究所 昆虫・微生物間相互作用研究ユニット
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宮本 和久
農業生物資源研究所昆虫適応遺伝グループ
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嶋田 伸明
動物衛生研究所安全性研究部
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KIM Yong
農業生物資源研究所昆虫適応遺伝グループ
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村田 英雄
動物衛生研究所安全性研究部
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村田 英雄
家畜衛生試験場北海道支場
-
Murata Hideo
Shichinohe Research Unit National Institute Of Animal Health
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