フィンランド国内のカモメ,ハトおよびブロイラー鶏におけるインチミンおよび志賀毒素産生性大腸菌の保有状況とその性状(短報)(細菌学)

概要

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インチミンや志賀毒素産生性大腸菌の保菌動物としての鳥類の役割について調査した.試験はカモメ(n=86),ハト(n=33),およびブロイラー鶏(23群,n=199)それぞれの糞便検体をもとにstxおよびeae遺伝子の検索をPCRで実施した.stx-PCRでは全ての検体が陰性を示した.対照的にeae遺伝子はカモメ,ハト,ブロイラー鶏群においてそれぞれ40%,7%および57%の割合で検出された.次いで,eae陽性検体から分離したeae保有大腸菌について,種々の病原遺伝子の検索およびO群血清型別を実施した.ハト由来の1株からstx_2f遺伝子が検出された.カモメ分離株の諸性状はハトやブロイラー鶏からのそれらと差異が確認されたが,これらの鳥類から分離されたeae保有大腸菌株からはヒトの病原性大腸菌分離株から高頻度に検出されるEHEC-hlyAやbfp/EAF遺伝子が検出されることはなく,またO群血清型も異なるものであった.これらのことから,フィンランドにおいて鳥類は人獣共通の病原性大腸菌のキャリアとして重要でないことが示唆された.