湿性植物群落の成立に影響を及ぼす諸環境要因の抽出

概要

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農地造成により減少しつつある湿原面積は膨大であり,さらに,多くの湿原が農業排水の流入などの人為干渉を大きく受けている。従って,湿原城における農地造成に際しては,既存する湿性植物の生育に配慮した造成方法の確立が今後の重要な課題と考える。そこで本研究では,湿原城に農地を造成するに際しても既存の湿性植物に影響が及ばない方法を確立することを目的に,各湿性植物群落(ヤラメスゲ群落,ヨシ群落,ハンノキ群落,ミズゴケ群落)を選出後,これらの群落が成立するための諸要因を多変量解析により抽出した。各湿性植物群落が成立するための諸要因を多変量解析により抽出した結果,これらの諸要因は主に土壌の分解度,土壌の酸性度,水質の汚濁度および土壌の肥沃度の4つの要因であることが確認された。また,これらの諸要因は水溶性栄養物質量および水位変動の程度に伴い大きく変化することが明らかになった。以上の結果から,湿原城における農地造成に際しては,水港性栄養物質の流出および水位変動の変化に十分考慮して検討を進めることが重要であると考えられた。
日本草地学会の論文
1999-10-31