境界層理論と野外実験の適用による大気拡散推定法の研究
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概要
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ここでは, 著者が学術研究および規制用を目標として, 長年に渡って取り組んだ大気拡散推定に関する研究開発の概要を紹介する。この研究開発においては, 大気境界層理論を適用するとともに, 大気拡散に関する実測データを取得するために多くの野外拡散実験を実施した。主な結果は次の通りである。(1)気象学の分野の接地境界層においてほぼ確立されているモニン・オブコフの相似則を利用して, PG拡散幅に対応するモニン・オブコフの長さの値を準理論的に導出した。それによって, 大気拡散の研究に大気境界層の方程式を利用する道を拓いた。(2)海上の境界層の特性により修正したPGT拡散幅を用いる海上低所源用正規型プルームモデルを開発し, 米国および我が国における海上拡散実験データによって検証した。(3)夜間, 風速が2m/s未満の場合の大気拡散を, 地上放出条件の大気拡散実験の実施によって研究した。その結果, 上記のような弱風時において, 我が国の原子力安全委員会の気象指針に採用されている大気拡散推定法の妥当性が実証された。(4)TOKAI82,83大気拡散実験のデータによって, 熱的内部境界層(TIBL)によるフユーミゲーション時の拡散モデルを研究した。その結果, 米国原子力規制委員会の規制指針1.145に記載されたフューミゲーションモデルが我が国においても短時間高濃度評価に使えるモデルの候補の一つであることが判明した。(5)海外において, 長距離, 長時間, マルチの大気拡散実験に使用されているパーフルオロカーボン・エアートレーサー(PFT)を研究した。その際, SF_6とPFTを同一地点から同時放出する小規模の野外実験を実施し, PFTが我が国の野外実験においても十分使用できることを確認した。
- 1999-03-10
著者
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- 書名 : 風の気象学(気象の教室 4 ), 筆者 : 竹内清秀, 体裁 : A5版, 184頁, 本体定価 : 2900円, 発行年月 : 1997年6月, 出版元 : 東京大学出版会
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