海上の境界層の特性により修正したPGT拡散幅を用いる海上低所源用正規型プルームモデル
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概要
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沿岸又は沖合の海上にある, 人工施設から発生する排ガスによる大気汚染の影響予測に資するため, 海上の低所源用の海上拡散モデルを複数考案し, 米国における海上拡散実験データによって検証した。海上拡散モデルの拡散式には正規型のブルーム式を採用し, 拡散幅(σ_Y, σ_Z)としてPasquill-Gifford-Turnerの拡散幅の線図(PGT図)の運用方法を工夫することによって海上に適用させた。新しい試みは, 海上の粗度がPGT図の場に相当する草原の粗度よりも2桁ほど小さいことが原因で, 海上の乱流強度が上記の草原での値の約1/2であることを観測と接地層の相似則の双方から示し, その関係を拡散幅に拡張したことである。さらに, 主に粗度の違いが原因で海上の接地境界層厚さが陸上よりも薄いので, 海上のσ_Zの距離に関する勾配が小さいはずであることも合わせて取り入れた海上拡散モデルを開発した。その結果, 次の2種の海上拡散モデルが推奨される。(1)海上の大気安定度階級(A〜F)について, Golder(1972)による大気安定度階級とMonin・Obukhovの長さ(L)との関係図において, 粗度が3cmの場合の読み取り値とバルク法によるLの観測値とを組み合わせて用い, PGT図のσ_Y, σ_Zをそれぞれ2階級分だけ安定側にずらすが, Fの時だけは1階級ずらして使用する(A→C, B→D, C→E, D→F, E→G, F→G)。ただし, Gのσ_Y, σ_ZはPGT図の外挿値である[σ_Y(G)=(2/3)・σ_Y(F), σ_Z(G)=(3/5)・σ_Z(F)]。(2)海上の大気安定度階級を観測しない場合は, PGT図の外挿値であるGのσ_Y, σ_Zを常に使用する。これは安全裕度を特別に高く設定できる場合に利用できる。
- 1997-03-10
著者
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