家畜飼養とハエ類の発生に関する研究 : (5) 各種家畜を多数飼養する場合

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周囲が松林に囲まれ, 外部と隔絶されている農林省畜産試験場で, 家畜の飼養とハエの飛翔分布について, 昭和38年5月および9月に調査を行つた.同場内には, 住宅, 事務室, 実験室および各種の畜舎が散在していた.畜舎は鶏舎, 兎舎が1カ所に, 牛舎, 山羊舎, 豚舎が他の場所に信念していた.ハエの採集は, ハエとりリボンによつた.その結果, (1)採集されたハエの総数は, 5月は11, 980個体, 9月は4, 611個体であつた.このうち, ヒメイエバエ, オオイエバエ, クロバエおよび「その他」の小型のハエは5月に多く, イエバエ, サシバエ, ニクバエは, 5月より9月の方がむしろ多かつた.(2)採集されたイエバエを採集場所別にみると, 畜舎がもつとも多く, 総数の73.6%で, 住宅では15.8%, 事務室では10.6%であつた.(3)畜舎内に飛翔しているハエのうち, イエバエは豚舎, 鶏舎に多く, サシバエは山羊舎, 牛舎に多かつた.ヒメイエバエおよび小型のハエは, 5月に兎舎内を異常に多数飛翔していた.(4)家屋侵入性の高いイエバエは, 畜舎付近から多数発生するので, 畜舎周辺にきわめて多かつた.しかし, 場内にはイエバエの発生源である畜舎が多いので, 結局, イエバエは場内全般に分布しているのではないかと思われる結果を得た.住宅や事務室内に侵入しているイエバエの数は, 畜舎からの距離には関係しなかつた.(5)イエバエの家屋侵入の因子としては, 家庭管理の良否, 家族内の幼児の有無があげられた.しかし, 幼児があつても, また, 住宅が畜舎の近くにあつても, 家庭管理の良好な場合には, イエバエの飛翔数は少なかつた.
日本衛生動物学会の論文
1965-03-31

家畜飼養とハエ類の発生に関する研究 : (5) 各種家畜を多数飼養する場合

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