拡張条虫の中間宿主となるササラダニ類に関する観察
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概要
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1)ササラダニの採集に際しBerlese変法, 渡辺等の採集法, 直接採集法を試みた.2)採集したササラダニ成虫を恙虫飼育容器であるプラスチック製シヤーレ内に獣炭末及び石膏との混合培地を床とし, その床に2万倍マーゾニン液を適時滴下補給して湿度を保ち併せてカビの発生を防ぎ, この環境下で飼育し数カ月乃至1年以上の生存をみた.3)渡辺氏等の採集法を検討し, プレート法によるササラダニの日週活動を調べる目的で実験を行つた.即ち1957年9月12日午前9時より翌13日午前10時迄の26時間, 杉板及び松板を用いて毎時この板の両面に集るダニの数を観察し, 同時に気温・地温・湿度を測定・記録した.4)この結果, 板よりの採集ダニの殆んどがホクリクササラダニOribatula sp. (Or. -1)であることが判明した.又杉板より松板に多く集る傾向のあるのを見た.5)杉・松共に表面より裏面に多く観察され, その数は裏面が昼夜共全体の70%前後を示し夜間と昼間の両面出現比率は有意差を示さなかつた.6)杉板の裏面に観察されたダニ数の時刻的推移をみると午前に活動の山がみられ午後3時以降急速に観察数は減少し夜間は殆んど認められなかつた.又松板採集区ではこの出現状態と気温・地温との間には何れも正の有意の相関がみられた.7)このプレート採集法は或地域のササラダニ相を調査する為の最適の方法ではないにしてもMoniezia expansaの中間宿主となるホクリクササラダニの採集法としては好適な方法の1つであると思われる.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1958-04-10
著者
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