栃木県の竹林における蚊の生態学的研究 : 第 4 報夏季の竹林における蚊幼虫
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概要
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1957年8月, 宇都宮市およびその周辺の竹林においてモウソウチク切株, モウソウチク割竹およびマダケ切株に発生する蚊幼虫について調査した. 1)モウソウチク切株において3属5種1, 050個体の蚊幼虫が採集された.そのうちAe. flavopictusが総個体数の53.4%を占め最も多く, Tr. bambusaがこれに次いで33.7%であり, Ar. subalbatus, Ae. albopictusは少なく, Ae. japonicusはきわめて少なかつた.蚊幼虫の出現瀕度はAe. flavopictus (50.3%), Tr. bambusa (28.4%)が高かつた. 2)モウソウチク割竹にはきわめて多数の蚊が出現し, 13の節の水域から3属4種, 863個体の蚊幼虫が採集された.そのうちAe. flavopictusが総個体数の36.6%を占めて最も多く, Ar. subalbatusこれに次ぎ, Ae. albopictusおよびTr. bambusaが少数採集された. 3)マダケ切株における蚊幼虫相はモウソウチク切株におけるそれに比し貧弱であつて, 蚊の種類数も個体数もはるかに少なかつた. 4)モウソウチク切株には12種類86個の蚊幼虫群集が形成され, そのうちAe. albopictus群集およびTr. bambusa-Ae. flavopictus群集が最も多く出現した. 5)モウソウチク割竹には7種類13個の蚊幼虫群集が形成され, そのうちAe. flavopictus-Ar. subalbatus群集およびAe. flavopictus-Ae. albopictus-Ar. subalbatus群集が最も多かつた. 6)マダケ切株には4種類22個の蚊幼虫群集が形成され, そのうちAe. flavopictus-Ae. albopictus群集が最も多かつた. 7)今回調査したモウソウチク切株, モウソウチク割竹およびマダケ切株においても, 前に報告したと同様に, Ae. flavopictusとAe. albopictusとの間に"棲みわけ"の現象は認められなかつた.
- 1961-07-05
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