アカイエカ越冬個体群の生態学的研究 : 1. 日本の各緯度地方から得た越冬集団の翅長分布と翅脈の R 比
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本各地(鹿児島・福岡・愛知県美浜町・名古屋・福島・仙台 : 北緯31∿38度)の洞穴から越冬中のアカイエカを捕集し, その翅長・翅脈のR比・経産率と体色(胸背部の褐色の濃淡)を調べた。どの地方の越冬集団でも短翅蚊の混棲のために翅長の頻度分布は正規型にはならず, 二つまたは三つの翅長群に分けられた。R比については, どの地方のものも全体として正規型の頻度分布を示し, その平均値の範囲はこれまで報告されているアカイエカCulex pipiens pallensのものと一致した。また, 経産率は短翅群の蚊で高い傾向を示した。これらの結果から, 短翅群の蚊は長翅群より早い時期に出現したものと推定され, 従来名古屋地方で明らかにされたアカイエカの越冬動態が日本各地で普遍的に見られるものと考えられた。翅長・R比・体色とも緯度との間に直線回帰が認められ, これらの形質は緯度に沿って連続的に変化することがわかった。また翅長とR比との間には, 各地の越冬集団間および各集団内で有意な回帰が認められ, それぞれ地理的および季節的な変異と考えられた。
- 1981-06-15
著者
関連論文
- アカイエカの体成分含量, とくに越冬雌個体の体の大きさと関連して
- 越冬アカイエカ Culex pipiens pallens の生存状況, 特に翅長と生存率との関係について
- 77 体長によるドブネズミの齢推定法の検討
- アカイエカ越冬個体群の生態学的研究 : 2. 越冬場所に出入りする雌蚊集団の翅長と R 比の経時的変化
- アカイエカ越冬個体群の生態学的研究 : 1. 日本の各緯度地方から得た越冬集団の翅長分布と翅脈の R 比
- 2 愛知県・半田地方における越冬アカイエカ群の翅長分布と精子保有率および経産率
- 13 家住性ネズミ体長分布の季節的推移の解析
- 73 家鼠の定量的同定法の信頼性と個人的誤差の検討
- 35 家鼠同定の生物計測学的検討 (1) : 胸部毛色の数量化によるドブネズミとクマネズミ鑑別の客観化
- 79 家そ同定の生物計測学的検討 (4) : 複数の形質の総合判断による家そ同定の実用化
- 78 家鼠同定の生物計測学的検討 (3) : 判別関数法の応用によるドブネズミとクマネズミ判定の客観化
- 77 家鼠同定の生物計測学的検討 (2) : 頭骨諸形質の総合的判断による種同定の定量化
- 愛知県における越冬蚊成虫群の動態特にアカイエカの翅長分布に基く考察
- 水質汚濁が原因と思われるアカイエカの大発生例とその防除対策
- 蚊族幼虫の定量的採集法の一改良案
- 越冬アカイエカの生存に及ぼすいくつかの環境要因の影響
- アカイエカ越冬個体群の生態学的研究 : 3. 越冬場所における蚊の移動
- 5 越冬アカイエカの生存率に及ぼす吸血と温度および日長条件の影響
- 16 越冬蚊成虫の捕食者としてのゲジについて
- 5 アカイエカ越冬成虫個体群に含まれる経産個体の越冬後における残存状況
- 熊田信夫先生のご逝去を悼む : 名古屋大学医学部医動物学教室初代教授
- Population Studies on Oncomelania quadrasi,the Snail Intermediate Host of Schistosoma japonicum,in the Philippines-4-Evaluation of Drainage for Snail Control
- 2 アカイエカ群各系統間判別のための推計学的方法(アカイエカ群の諸問題)
- Population Studies on Oncomelania quadrasi,the Snail Intermediate Host of Schistosoma japonicum,in the Philippines-2-Necessary Sample Size for Snail Density Survey