腰椎脊柱管狭窄症の手術 : 病態,開窓術と術後成績
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概要
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腰椎狭窄症は,頻度が高い変性性病変であり,歩行,起立の障害をきたし,特徴的な症候すなわち神経性間欠性跛行を呈する.高齢者の移動,歩行能力を制限し,さらに,社会的活動性低下をきたしてADL低下,ひいては精神活動を含めた全般的活力鈍麻とQOL低下を招来する.病態は椎間の変性肥厚と黄色靭帯の肥厚による馬尾ならびに神経根の圧迫である.中心型は硬膜管と馬尾全束の圧迫によるもので通常両側下肢の間欠性跛行を呈し,外側型は椎間関節の下で個別の神経が圧迫され根症状を呈するものである.われわれは後方支持要素を温存した開窓術を過去8年間ほど行っており良好な成績を得ている.棘突起,棘間靭帯,椎間関節を残して部分的な椎弓切除だけで,神経根のみならず中心硬膜管と馬尾の確実な減圧を図ることができる.本疾患に対する手術は習熟した手によれば安全であり,確実に運動能力を回復・改善させるので機能外科としての意義が大きい.また,単に一人ひとりの患者に対する治療手技としての意味にとどまらず,成熟型社会において一種の成人病ともいえる非常に頻度の高い疾患に対する機能的外科であり,社会保健,福祉ならびに経済上の効果の点で意義が大きい.本稿では,治療方針決定に重要な腰椎狭窄症の病態の概念と分類(中心型・外側型),症候,放射線学的な診断と手術適応について解説し,手術法として,われわれが行っている開窓術の方法を詳細に説明し,長期的追跡調査の要約を述べる.
- 2002-10-20
著者
-
荻野 雅宏
獨協医科大学脳神経外科
-
川本 俊樹
獨協医科大学脳神経外科
-
金 彪
獨協医科大学脳神経外科
-
荻野 雅宏
獨協医科大学 医学部精神生物学講座
-
朝来野 佳三
獨協医科大学 脳神経外科
-
野々垣 洋一
ののがき脳神経外科クリニック
-
川本 俊樹
獨協医科大学医学部脳神経外科
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金 彪
獨協医科大学 脳神経外科
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