無症候性髄膜腫の治療方針
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概要
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過去4年間に当科で経験した髄膜腫初回手術症例28例を対象とした.無症候性髄膜腫症例10例と症候性髄膜腫症例18例に分類し, 両群間で臨床放射線学的特徴および手術成績について比較検討し, 無症候性髄膜腫症例の治療方針について検討した.無症候性髄膜腫症例では手術により神経脱落症状を生じたものはなかった.症候性髄膜腫症例の画像上の特徴はMRl T1強調像でlow, T2強調像でhighの傾向があり, 腫瘍径も大きいことであり, 18例中5例(28%)に術後神経症状の悪化を認めた.症状悪化の原因は, 腫瘍に巻き込まれた動脈を損傷したものが4例, 高齢のための皮質運動領域を損傷したものが1例であった.3例は運動領近傍に発生した腫瘍であった.以上より, 無症候性髄膜腫であっても, 画像上症候性髄膜腫の特徴を有する場合や, 腫瘍周囲の動脈を巻き込みそうな場合, または運動領近傍に発生した場合には早期の腫瘍摘出を考慮してもよいと思われた.
- 日本脳神経外科コングレスの論文
- 1999-07-20
著者
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三上 貴司
広島市立安佐市民病院脳神経外科
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沖 修一
広島市立安佐市民病院脳神経外科
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山口 智
広島市立安佐市民病院脳神経外科
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川本 行彦
広島市立安佐市民病院脳神経外科
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桑本 健太郎
広島市立安佐市民病院脳神経外科
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伊藤 陽子
広島市立安佐市民病院脳神経外科
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沖 修一
広島市立安佐市民病院 脳神経外科
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