Neurofibromatosis 1に合併した骨髄原発リンパ腫の1例

概要

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症例は51歳の女性.頭部に柔らかい部位があることに気づき,当科を受診した.身体所見として頭頂部から後頭部に種々の硬貨大の頭蓋骨陥凹を触れ,四肢躯幹に多数のcafe-au-lait spotsおよび皮下腫瘤を認めた.神経学的には脈拍に一致した左耳鳴および腰痛の訴えがあったが,他覚的な異常は認めなかった.頭部単純X線写真で多数のpunched-out lesionを,CT,MRIでは骨欠損に一致して淡く造影される腫瘍像を認めたが,脳内に異常はなかった.骨シンチグラムでは脊椎骨を含め多数の全身の骨に異常集積が認められた.胸腹部CT,MRI,ガリウムシンチグラムなどでは全身のリンパ節,胸腹部臓器などに異常所見を認めず,骨髄原発のリンパ腫と診断した.頭蓋骨2カ所の腫瘍を摘出し,両者ともnon-Hodgkin's lymphomaと判明した.化学療法(CHOP)によって腫瘍は縮小したが,その後白血化し,1年後に死亡した.本例を含めて16の報告例について文献的考察を行った.neurofibromatosis1に合併した骨髄原発リンパ腫は,本症例が最初の報告である.
1996-09-20