アカネ科の花の形態 : I. フタバムグラ連
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概要
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アカネ科は約500属6, 000種からなる大きな科で,種として熱帯に分布している.近縁な科とは葉が対生し托葉があり,葉身は単葉で全縁,子房は下位で,花冠は蜜腺がなく合弁で放射相称であるなどの特徴で容易に識別できる.亜科,連,亜連などの分類は花や果実の形質が重視されている. H_<OOKER> や S_<CHUMANN> は子房室における胚珠の数によって 2 または 3 亜科にアカネ科を大別した.さらに子房室の数やその中に含まれる胚珠の数,胚珠のつき方,花冠裂片のたたまれ方,柱頭の形,乾果か液果科などの形質を取り上げ連や亜連を分類した.このように分類学的形質として重視されながら,アカネ科の花はまだ形態学的に充分研究されていない.部分的には,ハナガサノキ属,ツルアリドオシ属などの胎座型のように,分類学上見過ごせない観察の誤りもある.アカネ科の分類系を再検討するためには,花を比較形態学的に解析しなければならない.このために数年来資料収集に努めてきたが,アカネ科の花の内部形態についてその大要をある程度明らかにできるようになったので発表することにした.現在のところ,日本を中心に東南アジア,ニューカレドニアなどから入手した資料約40属70種を扱う予定である.S_<CHUMANN> の分類系にしたがって,連ごとに記述していくが,本稿ではフタバムグラ連の Anotis 属,イリオモテソウ属,Clarkella 属についてふれた.なお花の内部形態はパラフィン切片法と透明法で観察した.子房が堅くて満足な切片ができない場合は,5〜10%の KOH 溶液に漬け,60℃に保って30分から 3 時間放置し,軟化処理をおこなった.
- 日本植物分類学会の論文
- 1978-05-30
著者
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