通信を基礎としたプログラミングのための構造化プリミティブ(I)記述と意味論
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概要
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本稿では,近年の分散計算環境にみられるような,複数プロセス間の複雑な通信に基づくプログラミングのための,構造化プリミティブを提案する.従来の並行計算用のプログラミング言語あるいは形式系においては,一度かぎりの相互作用(call-returnあるいはメッセージ渡し)を表現する通信ブリミティブはあるものの,2者間の一連の通信による相互作用をひとまとまりのものとして構造化するための構成子は存在していなかった.このことは,特に,アプリケーション内に複数の相手との連続的な相互作用が混在する場合,それぞれを別個の構造として抽象・記述する方法がないことを意味し,抽象化手法としてのみならず,通信パターンの整合性の検証などの実際的な目的のためにも大きな問題となる. 本稿では,通信に基づくプログラミングのための構造化プリミティブを提案し,きわめて単純な基礎プリミティブを構造化手法により組み合わせることで,複雑な相互作用を行う並行プログラムを見通しよく構成することが可能になることを示す.これらの構成子の動作は簡素な操作意味論によって厳密に定義され,従来の様々な通信ブリミティブは,これらの構成子の組み合わせとして容易に表現される.さらに,本稿の続編で扱われるように,この構造化手法によって,プロセスにおける相互作用パターンの一致の自動検証が,MLにみられるような型推論アルゴリズムを用いて可能となる.
- 日本ソフトウェア科学会の論文
- 1997-09-16
著者
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