エキシマー蛍光誘導体化法による生体関連物質の分析
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概要
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高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は,近年,医療,環境,食品などの分野で使用されている.HPLCの検出は測定対象物質の物理的・化学的性質を検知することに基づいており,吸光度,電気化学,質量分析,蛍光などの検出器が用いられている.しかしながら,これら検出法に対し,目的成分が必ずしも強い応答を示すとは限らず,全く応答を示さないこともある.誘導体化の大きな目的の1つは,検出器に対し目的物質が十分な応答を示さないときに,化学反応などにより検出器に強い応答を示す物質へ変換することであり,使用される試薬は誘導体化(ラベル化,標識)試薬と呼ばれる.各種検出器に応答する誘導体化法が開発されているが,その中で蛍光誘導体化法が汎用され,そのために必要な試薬類も数多く開発されている.ほとんどの蛍光誘導体化試薬には,目的物質を標識するための反応部位と発蛍光に関与する蛍光部位が同一分子内に共存している.多くの蛍光団が開発されているが,これらの蛍光性試薬を用いて実試料中の微量成分を分析するとき,多種多量に存在する共存物質や誘導体化反応の際に過剰に加えられた蛍光性の試薬が測定対象物質の分析を妨げる要因となることがある.そこでそれらの問題点を解決するために,無蛍光性の試薬を用いる発蛍光誘導体化法の開発や特殊な蛍光現象(蛍光偏光,時間分解蛍光,蛍光共鳴エネルギー移動など)を導入した誘導体化法の開発が試みられている.本稿では,筆者らの開発した「エキシマー蛍光誘導体化法」の概念及び同誘導体化法による生体関連物質の分析について,これまで得られた知見を紹介する.
- 公益社団法人日本薬学会の論文
- 2003-08-01
著者
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