前立腺癌の病名告知に関するアンケート調査

概要

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(目的)高齢者である前立腺癌の患者さんへの病名告知が適切か.また癌病名の受け入れに影響する因子は何かなど, 病名告知にともなう課題を明らかにするためアンケート調査を行った.(対象と方法)癌の病名告知を初診時に希望し, 前立腺癌と診断されて告知を受け, 手術あるいは内分泌療法を行っている54名の前立腺癌症例(64歳から87歳まで平均74.8歳)を対象とした.癌告知以後6カ月以上経過している患者さんを選択し, 文書同意を得たうえでご自身の理解と判断でアンケートに回答していただいた.調査期間は2003年1月から6月までの6カ月間とした.(結果)前立腺癌の病名告知を受けた後, 76%の患者さんでは2〜3日以内に癌であると受け入れ可能であったが, 3カ月以上かかった人が11%, 無症状で癌ということが信じられないため, 調査時にいまだ受け入れられないとの回答が3.7%に認められた.受け入れに最も影響したことは, 医療スタッフとの信頼関係, 治療効果, 家族のささえ, 時間が解決, の順であった.その際, 精神的支えとなったのは, 妻(46.3%), 主治医(27.8%), 家族, 看護師, の順であった.告知時に最も心配したことは, 余命(38.8%), 治療の危険性(16.6%), 家族(9%), 仕事, の順であったが, 調査時に心配していることとしては, 再発(35.2%)が最も多く, 次いで家族, 経済, 加齢(それぞれ3.7%)などであった.心配事はないとの答えが告知時の11.1%から調査時には22.2%に倍増した.病名告知を受けた患者さんで, 告知を受けなかったほうが良かったかもしれぬと答えた人は一人もいなかった.(結論)高齢者であっても告知を希望する患者さんに対して前立腺癌の病名を告知することは適切であり, 良く受け入れられていると考えられた.医療者との信頼関係と妻の精神的な支えが重要であると思われた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
2006-01-20

前立腺癌の病名告知に関するアンケート調査

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