特殊鋼熔接の基礎的研究(第 4 報) : 強靭鋼板熔接変質部における硬化部の生成阻止並びに生成硬化部の除去について
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概要
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本報では先づ2.98%Ni, 1.31%Cr, 0.46%Mo, 0.32%Cを含む強靱鋼及び1.18%Mn, 1.60%Cr, 0.26%Mo 0.42%Cを含む強靱鋼を母材とし, 麻留田生成温度から変態点に至る間の種々の温度に就いて, 所謂熱間熔接を行ひ, 熔接変質部に出現する硬化部の生成從つて割れの発生を阻止し得る可能性あることを, 系統的に示し得た。硬化部の生成阻止を比較的短時間に行ふには, 適当なる温度範囲に母材を加熱して置いて熔接を行ひ熔接終了後其温度に所要時間保持するのである。Ni-Cr-Mo鋼では其温度範囲は主として300∿400℃程度であり, 所要保持時間は約20分である(650℃附近にも斯る温度範囲があるが所要時間が著しく長い)。Mn-Cr-Mo鋼では650∿675℃程度の高温度に約40分間保持するか, 或は300-400℃程度の低温度に約10分間保持すればよい。斯る現象は, 物理冶金学に於いて取扱はれてゐる所謂S曲線を以て説明し得るのであるが, 熔接の場合, 熔着部に隣る母材局部は固相線直下まで加熱されるのであつて此場合の最高加熱温度は物理冶金学に於ける普通の実驗の場合に比し著しく高い從つて保持時間に就いては両者の場合差異あることが想像される。次に熱間熔接で硬化部の生成を阻止する方法と比較のため, 一旦硬化部の生成したものを燒戻軟化する所謂後熱実驗をも行つた。此結果変態点直下で後熱を行へば, 極めて短い時間で充分に軟化の目的を達し得ることが解つた。即ち熱間熔接に比して1/60程度の短時間で同程度の軟化が可能である。
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