特殊鋼熔接の基礎的研究(第 5 報) : 不安定大洲田組織を含む鋼を心線とする被覆棒をもつて, 強靭鋼を熔接する場合の熔着鋼の硬度に及ぼす被覆剤中の黄血塩の影響について
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概要
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本報に於いては, 不安定大洲田組織又は更に地鐵又は麻留田組織を含む組成範囲のNi-Cr不銹鋼心線又はMn-Cr鋼心線に, 黄血塩を含む被覆剤又は之を含まざる被覆剤を塗布して, 多数の電弧熔接棒を作り, 之を用ひてMn-Cr-Mo強靱鋼板をV型衝合せし, 其熔着部の硬度測定及び化学分析を行ひ, 次の結果を得た。(1)黄血塩を含む被覆剤を塗布せる熔接棒を以て, 強靱鋼をV型衝合熔接すると, 黄血塩を含まぬ被覆剤による場合に比し, 軟い熔着鋼が得られる。(2)斯る傾向はV型衝合の第1層に於いて著した。被覆剤中に黄血塩があれば, 電弧附近において黄血塩が分解してCNガスの雰囲氣を生じ, 大氣を排除する。従つて電弧熔着に際してMnまたはCrのごとき酸化し易い特殊元素が減耗する度合は少く, また窒素の侵入量は多く, これらは相俟つて熔着鋼の大洲田組織成分を多くし, または大洲田を安定化し, 従つて熔着鋼の硬度を低下するのであろう。硬度の低下は一般の合金において必ずしも変形能の増大をきたすとは限らないが, 不安定大洲田界域に存する鋼の硬度の低下は, 多くの場合変形能の増大をきたすものであるから, 被覆剤中に黄血塩を配合し, 熔着鋼の硬度を低下せしめることは, 熔着鋼内割れの防止に役立つであろう。本報の実験においても, かかる好影響が認められた。ただし被覆剤中に黄血塩が30%も存すれば, 電弧熔接に際し発生するガス多く, 作業場の雰囲氣を非衛生的にする傾向があるので, これを利用する場合には, 作業場の開放その他作業者の健康保持に留意する必要があろう。
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