ナミテントウおよびナナホシテントウの諸形質に及ぼす食物としての異種アブラムシの影響 : アラブムシ捕食性テントウムシの食生態に関する実験的研究 1
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概要
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25℃, 関係湿度70∿80%, 無照明の実験条件下で6種類のアブラムシを餌種としてナミテントウおよびナナホシテントウ幼虫の個体別飼育を行ない, テントウムシの形質に及ぼすアブラムシの影響をしらべた.1.テントウムシ両種の形質は餌アブラムシの種類によって変化したが, その程度は, 形質, テントウムシの性別ならびに種類によって異なった.形質のうちで最も著しく変化したのは発育期間の死亡率で, 変化の程度の小さかったのはさやばねの大きさであった.この場合, ナミテントウにおける形質の変化はナナホシテントウにおけるよりも顕著であった.2.キビクビレアブラムシはナミテントウの食物として最適で, イバラヒゲナガアブラムシはこれに次いで優良であった.モモコフキアブラムシも適性を示したが, イバラヒゲナガアブラムシよりも劣った.また, ダイコンアブラムシはニワトコフクレアブラムシより秀れているが, 或る程度有害性を有し, 適性はモモコフキアブラムシよりはるかに低かった.一方, マメアブラムシとニワトコフクレアブラムシの両種は, ナミテントウに対して有害で, 両者のうち前者の致死性は特に顕著なものがあった.ナナホシテントウに対するキビクビレアブラムシとイバラヒゲナガアブラムシの適性は, ナミテントウに対する場合と同様であり, ダイコンアブラムシ, マメアブラムシならびにモモコフキアブラムシはナナホシテントウに対してかなり良好な適性を示したが, イバラヒゲナガアブラムシより劣り, ニワトコフクレアブラムシは極めて有害であった.3.キビクビレアブラムシとイバラヒゲナガアブラムシの適性は両種テントウムシ間で共通的で, これとは対照的に, マメアブラムシとダイコンアブラムシの有害性はナミテントウに対して著しく選択的であった.適性の程度には著しい差がみられたが, モモコフキアブラムシとニワトコフクレアブラムシは両種テントウムシに対して多少不完全な共通適性を示す種類のように思われた.4.餌種に対するアブラムシ捕食性テントウムシの種特化性の生物学的意義, ならびにアブラムシ個体群密度の調節者としての役割を明らかにするため, 今後更に多種類のアブラムシとテントウムシ, その他のアブラムシ捕食性昆虫の研究を展開することの必要性が強調された.
- 日本昆虫学会の論文
- 1973-09-25
著者
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