伊勢湾の秋季の残差流

概要

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1994年10月29, 30日に実施された伊勢湾の集中観測で得られた塩分と水温のデータを利用して, 診断モデルにより残差流の計算を行った。計算結果は東西方向に設定された2測線でのADCPによる観測値により検証され, 定量的に非常によく一致していることが確かめられた。計算結果から残差流構造は次のようになっていると考えられる。高密度の海水が湾口から底層付近を北西方向に湾内に進入し, 湾中央部の窪み形状に沿って西方向に向かうものと湾奥に向かうものとに別れる。上層には湾奥部(常滑以北)と湾中西部(津沖)に時計回りの渦がある。これら2つの渦により知多半島沿いを南下する流れは20cm / s以上の流速となる。また, 湾口においては, 中層にのみ反時計回りの渦が認められる。湾全体としてみた場合, 下層流入・上層流出のエスチュアリー循環を形成しているが, 上層においては西岸で湾奥に向かい, 東岸で流出する形態となっている。これは地球自転の影響を受けた流況と考えられる。
日本海洋学会の論文
2000-03-05