同時多周波数計測法による黒鉛の光音響信号の周波数依存性の検討

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光音響顕微鏡は不透明材料内部の傷やクラックなどの深さ方向の情報を簡単に検出し、評価できる装置として期待されている。深さ方向の情報を収集する場合、レーザ変調光の周波数を連続的に変え、それぞれの周波数に対する光音響(PA)信号の強度を関係づけた周波数依存性(以下"f依存性")を利用する方法が一般的である。しかし多点多周波数計測を必要とする3次元画像の場合、個々のレーザ変調光周波数でPA信号を一回ごとに計測し、それを集計していたのでは計測のスピード化という点から問題が残る。この問題点を解決するために従来の測定系をそのまま使い、PA信号のf依存性を簡単に得る方法として筆者らの一人はのこぎり波断続光を試料に照射し、測定されたPA信号を高速フーリエ変換してf依存性を得る方法を先に提案した。しかし、この方法はのこぎり波変調光を構成する各周波数成分をフーリエ展開して使うためn次高調波成分の光強度が基本波のそれの1/nにまで弱くなり、高調波成分の信号を測定しづらいという問題点があった。加えて測定されたPA信号f依存性には材料本来の光音響効果によるものと照射レーザ光の基本波以外の高次高周波光強度の1/n減衰が含まれるため、正確な測定値を得るためにはある種の補正をしなければならないというプロセス上と精度上の問題点が生ずる。この改良法として私達は高速フーリエ逆変換(IFFT)して作った複合波レーザ変調光を使ってPA信号を測定し、得られた信号を高速フーリエ変換(FFT)する"同時多周波数計測法"とでも呼ぶべき新しい計測法を考案した。本報告ではまず同時多周波数計測法の原理を述べ、次にその方法によって計測したPA信号のf依存性の測定結果を示す。この方法が従来の方法に比べてその計測時間を約1/5に短縮できることを明らかにする。
社団法人電子情報通信学会の論文
1995-09-05

同時多周波数計測法による黒鉛の光音響信号の周波数依存性の検討

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