視覚の意識と脳内表現
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概要
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視覚は、外界の情報を最も豊富にしかも精緻に取り入れる感覚系である。しかし、視覚系は外界の情報を脳内に点対点に写像する単なるコピー装置ではない。むしろ、どのような情報が自己にとって重要かを見極め、選択し修飾し、脳内に世界を自己創造するシステムである。視覚系の解剖学的、生理学的研究が近年急速に発展し、その構造(ハードウェア)および処理内容(ソフトウェア)がかなり分かってきた。それによると、視覚神経系はいくつかのサブシステムを並列・直列に組み合わせた階層構造をとっており、その中に認知に必要な諸情報を細胞活動として表現している。これらの研究成果のうち、ソフトウェアに関する知見は、一面では研究者自身の作業仮説あるいは結果に対する解釈に基づいて提示されたものである。したがってそれらの成果に対する解釈もいろいろなされうる。ここでは視覚の神経情報処理に関するいろいろな知識を並列的に記述するのではなく、筆者の主観的解釈および筆者が同意できる研究者の解釈に基づき、神経情報処理と視覚的意識との関係を認知に必要な`脳内情報表現`という観点から述べてみたい。もちろんここに述べる解釈とは別の解釈をすることも可能であり、この小文が、新しい解釈を発展させ、研究を進展させるきっかけとなれば幸いである。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1994-09-26
著者
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