スリップリング試験による気相潤滑剤の迅速評価 (機構デバイスの新しい展開とその基礎論文小特集)

概要

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ブラシ,整流子付小型モータでは,アウトガス(妨害ガス)によるブラシ,整流子の接点不良と低湿度雰囲気におけるブラシ,整流子の異常摩耗が大きな課題であった.この課題を「気相潤滑剤」という新しい概念で解決することができた.気相潤滑剤とは,ブラシ,整流子表面へ吸着した気相潤滑剤がアウトガスの吸着を防止すると共に低湿度雰囲気の接点部表面の吸着水の減少を補い潤滑効果を発揮するものである.本論文はこの気相潤滑剤として有効な有機化合物を正確かつ効率的に選定する方法を確立したものである.実用性との相関は小型モータの実験により実証した.また,蒸発速度の測定で接点潤滑剤の寿命の推定を行った.高湿度環境における電流リークの有無は吸湿性を測定することで気相潤滑剤の良否を判定した.小型モータ用の気相潤滑剤を選定するにあたり,小型モータを用いる一般的に行われている寿命試験を採用したのでは,結果の判定に長時間を要し実際的でない.このためスリップリングテスト法を採用した結果,接点潤滑剤の有効性は,通常0.0294 Nのブラシ荷重を約3倍の0.0981 Nにした実験で15分間で気相潤滑剤の良否を評価できた.
1996-11-25