上下回線で周波数が異なる通信における帰還型アダプティブアレーアンテナの特性

概要

論文の詳細を見る
アダプティブアレーアンテナ(AAA)は干渉抑圧とともに、そのアンテナ素子間隔を広げることで各アンテナでの受信信号の相関が低くなり、空間ダイバーシチ効果を得ることができる。上下回線で同一の周波数を用いて通信を行うTDDシステムでは、伝搬路の可逆性が成り立つので上り回線で求めたウェイト値を下り回線で用いることができ、基地局にのみAAAを設置するだけ上下回線での誤り率特性が向上する。しかし、上下回線で周波数が異なるFDDシステムでは、上下回線で伝搬路の特性が異なるためこのような方式は使えない。本論文では、FDDシステムにおける帰還型AAAを検討し、その特性を明らかにした。計算機シミュレーションの結果、この方式により、制御遅延時間がフェージング周期に対して十分小さければ、FDDシステムにおいても基地局にAAAを設けるのみでフェージングと同一チャネル干渉同時に対処できることが分かった。さらに、この方式をハンドオフに適用することにより、誤り率特性が向上することを示した。
社団法人電子情報通信学会の論文
2001-08-30