波形処理による音声信号の基本周波数の抽出

概要

論文の詳細を見る
音声の基本周波数は, 音声信号処理において重要な音声パラメータである.本文では, 有声5母音がその基本周期内で, ほぼ減衰振動であることに注目した波形処理による基本周波数抽出法を述べる.本方式では, 減衰振動の包絡を強調するために音声振動波形の正側のピーク値を負側のローカルボトムに付加することによって, ほぼpeak to peakの波高のパルス列を作成している.そして, それを検波処理した波形のピーク間の時間計測によって, 音声の基本周期を抽出している.本文では, 各処理アルゴリズムを示し, さらに, 擬似5母音(F_0=100Hz, 250Hz, 375Hz)を用いて, 本方式を将来, 適応処理化する場合の中心値ともなる, LPF処理における遮断周波数, 並びに, 検波処理における時定数の値を検討している.その結果, 最適の検波処理時定数は約0.01[sec]であること, 並びに, F_0>250Hzのより高いピッチでは, LPFの遮断周波数をF_0の近傍の高い周波数に適応可変する必要性がある事が分かった.
社団法人電子情報通信学会の論文
1999-01-22