有声音のモデル化に適した伝達関数モデルの一提案

概要

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音声の伝達関数を求める方法は多数提案されている。なかでも極零型伝達関数を推定する方法は、有声音、無声音および鼻音を分析する方法として優れている。さらに、モデル化された声帯波と極零型伝達関数とを同時推定するGARMA法は、有声音の波形再現性に優れている。しかし有声音の場合、声帯は周期的に開閉しており、声帯が開いているときには、声帯が閉じているときに対して、肺の効果が加わる。したがって、有声音は、1ピッチ周期の中に非定常性があると予想されるが、上記の方法はこれらを考慮していない。本研究では、声帯の開閉に伴う特性の変化を考慮した伝達関数の形状と、その一推定法とを提案する。伝達関数には、極零型伝達関数と全零型伝達関数とを並列接続したモデルを提案し、実音声の分析に試用している。また分析法には、従来の時系列信号に対する最小自乗法とニューラルネットワークとを適用している。さらに、全零型伝達関数部分および実音声との誤差波形に対しては、指数関数と代数方程式とを用いることにより情報圧縮をも実現している。
社団法人電子情報通信学会の論文
1994-01-20