音声の個人性知覚に影響を及ぼす音響的特徴の分析
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概要
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音響特徴の個人性知覚への寄与度を把握しておくことは, 声質変換などに有益な情報となり得る. 本稿では, 話者間の音響特徴の差(以下, 音響特徴距離)に着目し, 基本周波数, スペクトル, 音素継続時間の各音響的特徴の個人性知覚に対する寄与度と音響特徴距離との関係を聴取実験により分析した. また, 個人性知覚への寄与度の予測モデルを提案し, 聴取実験結果との比較により評価した. さらに, 話者が既知である場合と未知である場合の寄与度の違いについても分析を行った. 聴取実験はABX法とし, 呈示音声A,Bを話者A, 話者Bの分析合成音, Xを話者Aと話者Bの音響特徴を入れ換えた分析合成音とした. 被験者には,「Xの話者は, A, Bのどちらの話者だと思えるか」を強制判定させた. 分析の結果, (1)スペクトル, 基本周波数は個人性知覚に対する顕著な寄与が認められること, (2)各特徴の寄与度は, 音響特徴距離に依存するが, 代わりに各特徴に対する重み係数を全体の傾向を表す指標として利用し得ること, (3)既知話者の場合は, 未知話者の場合に比べて, スペクトルの影響が大きくなる傾向があること, (4)音響特徴距離を入力とした個人性知覚への寄与度の予測モデルは, 7.7〜12.0%(RMS)の予測誤差で推定が可能であること, などが明らかとなった.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1996-10-18
著者
-
橋本 誠
Atr音声翻訳通信研究所:現在 三洋電機株式会社
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樋口 宜男
Atr音声翻訳通信研究所
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樋口 宜男
(株)エイ・ティ・アール音声翻訳通信研究所:(現)国際電信電話株式会社
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樋口 宜男
Atr音声翻訳通信研
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橋本 誠
Atr音声翻訳通信研究所:(現)三洋電機(株)
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