超マルチビーム衛星通信用光制御フェーズドアレーアンテナ技術 : 電波・光ファイバ共用通信方式の基本技術として

概要

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1980年代の中頃からマイクロ波信号伝送およびマイクロ波信号処理に光技術を適用する検討が開始され、当初はレーダー応用が中心であったが、ワイヤレスアクセス用マイクロ波伝送路としての検討も最近盛んに行われるようになってきた。研究の中心は、光ファイバ伝送路におけるマイクロ波信号の高効率伝送、低歪み伝送であり、また伝送路の低雑音化である。マイクロ波伝送の高効率化はマイクロ波増幅器等で既に実用化済みの帯域整合技術により行われており、EO変換器(レーザーダイオード、光外部変調器等)、OE変換器(フォトダイオード等)に対して整合化が行われている。低歪み化に関してもマイクロ波回路等に適用されてきたプリディストーションやフィードフォワード法等がEO変換器に適用され、非線型歪み補償が行われている。低雑音化はトランスインピーダンス型増幅器の適用、RIN雑音が低いND-YAGレーザーの適用によるリンク雑音の低減等が行われている。このように、マイクロ波アナログ伝送路の高ダイナミックレンジ(リンク雑音とキャリアレベルの交点およびリンク雑音と信号の3次歪みの交点の差で定義されるマイクロ波信号入力範囲)化に対して種々の試みが行われている。一方、マイクロ波処理技術に対しては、光位相制御によるマイクロ波位相制御、さらには光振幅制御によるマイクロ波振幅制御技術等の可能性が明らかになり、これらを組み合わせて構成するフェーズドアレーアンテナ用ビームフォーミングネットワーク(BFN)が従来のマイクロ波回路技術のみで構成したBFNに対して、光ファイバ伝送路による低損失化、軽量化および電磁波干渉の回避できること、光集積回路の適用による回路の小型化、集積度の向上、線路間結合の減少を図ることができること、高速光デバイスの適用により広帯域化が図れること、光ビームの空間的広がりを利用した2次元的並列処理が可能となり大規模処理回路を実現できること等において有効であることが明らかになってきた。このように、マイクロ波あるいはミリ波信号の伝送は電波干渉による空間的制約条件があるフィールドにおいては、光ファイバが1つの重要な伝送媒体になり得、さらにはマイクロ波〜ミリ波信号処理、特に電波ビーム制御において光ファイバおよび光回路技術がハードウエア機器の小型化、軽量化、大規模化等においてその威力を発揮することが期待できる。特に後者の電波ビーム制御技術は今後のワイヤレスシステム(衛星通信あるいはパーソナル通信等)の適用可能性範囲の拡大に対して1つの重要な技術として考えることができる。そこで、本報告では後者の電波ビーム制御技術と光技術の関係について述べ、光信号処理技術がどのようにマイクロ波ビーム制御に適用されているかを明らかにする。
社団法人電子情報通信学会の論文
1996-03-11

超マルチビーム衛星通信用光制御フェーズドアレーアンテナ技術 : 電波・光ファイバ共用通信方式の基本技術として

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