触覚刺激を利用した楽音伝達の基礎検討

概要

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近年,身体障害者の,情報獲得の困難さを解決するために,情報を他の正常な感覚機能で知覚できるように変換する福祉機器の開発が活発になってきている.聴覚障害者の場合,音による情報を振動刺激に変換し,触覚での情報伝達を試みる研究が行なわれている.しかし,それらの多くは,会話音声を理解するための補助手段としての研究である.聴覚障害者の中にも音楽(主にリズム的なもの)に親しんでいる人がいるが,その数は少ない.これは,聴覚障害者が音楽を楽しめるような環境が整っていないことが大きな原因である.また,最近環境が高まってきている手話歌(健聴者が曲に合わせて歌を歌うのと同じように,その歌詞の内容を手話で表現するもの)に関しては,日常生活で手話を用いている聴覚障害者の間では,健聴者ほど盛んでない.それは,聴覚障害者が手話歌を歌う時のリズム知覚の方法が確立されていないことも,原因の一つである.ここではでは,手話歌を歌う時のリズム知覚の方法として振動刺激を利用することを目的とし,振動刺激だけでリズムバターンの知覚がどの程度可能であるかについて調査した結果を報告する.
社団法人電子情報通信学会の論文
1996-03-11