短期的な伝達効率の調節機構を持つパルスニューラルネットワーク

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一般的なパルスニューラルネットワーク(PNN)では,シナプス結合荷重が正の場合,前ニューロンの発火頻度が上昇すると,後ニューロンの発火頻度も上昇する。よって,シナプス結合荷重が正だけの場合,排他的論理和のような線形分離不可能な関数の表現は困難である。すなわち,ネットワーク全体で表現できる関数空間が限定される。一方,実ニューロンにおける興奮性結合時のシナプスでは,前ニューロンの発火頻度が上昇すると後ニューロンの反応が順次減少し,前ニューロンの発火頻度が元に戻ると後ニューロンの反応も元に戻るというような,短期的な伝達効率の調節が行われる。そこで,本研究ではPNNにおいて表現可能な関数空間を拡張するために,実ニューロンで行われるような短期的な伝達効率の調節機構を導入したPNNモデルを提案する。予備実験により,短期的な伝達効率の調節を導入することで,シナプス結合荷重が正だけの場合でも線形分離不可能な関数空間の表現が可能になることを検証する。さらに,提案するモデルの応用として,PNNをコントローラに用いる自律移動ロボットの走行実験を行う。具体的には,自律移動ロボットに異なる4種類の環境中を指定したスタート地点からゴール地点まで順次走行させ,短期的な伝達効率の調節機構の有無による影響を検証する。計算機実験により,一般的なPNNに比べ,短期的な伝達効率の調節機構を導入したPNNをコントローラとする自律移動ロボットの性能が,より優れていることを示す。
社団法人電子情報通信学会の論文
2002-07-19

短期的な伝達効率の調節機構を持つパルスニューラルネットワーク

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