老人病院入院高齢者の家族の退院意向及び退院に影響する要因分析
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概要
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高齢者の老人病院への入院により, 家族がその後の高齢者介護に対しどのような意識を持つのかを明らかにすることを目的に, 家族に郵送質問紙調査と医療者による患者実態調査を行った。さらに, 同対象の2年後の追跡調査を行い, 実際の退院に関与した要因の分析を行った。分析は老人病院に入院中の高齢者の家族のうち, 家族調査と医療者側の患者実態調査が揃っている561名について行った。結果は次のとおりである。高齢者の平均年齢は79.0歳で, 75歳以上では女性が多い。入院中の家族は37.8%が高齢者の退院後の生活場所として家庭を考えているが, 医師・看護婦の在宅可能者の判断と一致しなかった。家族の家庭意向に影響する要因は今回以前の入院経験と入院期間, 住居に段差問題がない, 福祉サービスの利用経験, 今回の入院期間の長さ, 現在の痴果度, 家族の面会頻度などである。2年後の追跡調査の結果, 自宅への退院は5.7%であった。退院に関与する要因は入院期問が6ケ月以内である, 現在の痴呆が軽度, 入院時の家族の意向が在宅介護, 医師・看護婦が在宅可能の判断などであった。このように入院中の在宅介護意向と実際の退院へ影響する要因は類似している。今後は在宅介護の意向を持っている家族が, 入院期間が長期になるとその意欲を失っていくことを防ぐために, 家族への頻繁な面接や退院に向けての家屋の改造などの専門的援助が, 入院時から継続して行われることの必要性が明らかになった。
- 日本発達心理学会の論文
- 1997-10-30
著者
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