「曲がる」概念の典型性と文脈効果にみられる発達的変化
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概要
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本研究は, 認知地図と自然概念の両研究分野の境界領域に属するものとして企画された。空間認知における「進行方向の変更」に関する認識を, 「曲がる」という自然概念として捉え直し, この概念にも典型性と文脈効果とが存在するのかを発達的に検討することを目的とした。このために2つの実験が行われた。実験Iでは, 小学1・5年生と大学生を対象に, 一対比較課題, 描画課題, 移動課題の3つの課題が実施され, 「曲がる」概念の典型や典型性の存在が確かめられた。典型は全ての年齢群を通して, 90度に曲がることであった。また, 典型性の内容には発達差がみられ, 年齢の上昇とともに典型性判断の基準が多様化ならびに安定化することが示された。実験Iでは文脈効果の検討を目的に, 4叉路という実験Iとは異なる状況下での「曲がる」概念の典型と典型性とが問題とされた。実験Iと同じ年齢構成の被験者群に対して, 新たに選択課題を加えた4課題が実施された。状況の変化に応じて典型と典型性の双方が変化することが示され, 文脈効果がみられたと結論された。最後に, 以上の諸結果より, 空間認知ならびに自然概念研究に対してもたらされる示唆が述べられた。
- 日本発達心理学会の論文
- 1995-07-15
著者
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